西東
にしひがし
名詞
標準
文例 · 用例
八重の雲遠くたゝへて、 西東はてをしらねば、白堊紀の古きわだつみ、 なほこゝにありわぶごとし。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
間四里、聞えた加賀の松並木の、西東あっちこち、津幡まではほとんど家続きで、蓮根が名産の、蓮田が稲田より風薫る。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
夜も昼もたいていいっしょにいた二人で、居間と居間の間に戸があって西東になっていることをすら飽き足らぬことに思って、双方どちらかが一人の居間へ行っていたような姉妹が、別れ別れになるのを悲観しているのである。
— 竹河 『源氏物語』 青空文庫
……「さて、東西東西、魚づくしはどうじゃいな。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
五本の指をあれ見よとことごとく伸ばすならば、西東は当るとも、当ると思わるる感じは鈍くなる。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
西東長短の袂を分かって、離愁を鎖す暮雲に相思の関を塞かれては、逢う事の疎くなりまさるこの年月を、変らぬとのみは思いも寄らぬ。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
今宵限の朧だものと、即興にそそのかされて、他生の縁の袖と袂を、今宵限り擦り合せて、あとは知らぬ世の、黒い波のざわつく中に、西東首を埋めて、あかの他人と化けてしまう。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
西東隔たる京を縫うて、五年の長き思の糸に括られているわが情実は、目の前にすねて坐った当人には話したくない。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫