瞹昧
瞹昧
名詞
標準
文例 · 用例
自分にも分らぬところは、分らぬとしてそのまま殘しておいて、分つてゐるだけを、瞹昧でなく、嘘いつはりなく傳へたい、さういふ氣持だつた。
— 島木健作 『生活の探求』 青空文庫
また中にはどっちつかずの変に瞹昧な表情をうかべている婦人もあって、それがいよいよ彼をまごつかせてしまった。
— または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊 『死せる魂』 青空文庫
妾に無理矢理、何か瞹昧な証文に署名させて、紙幣で十五ルーブリ投げつけておいて行ってしまったのです。
— または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊 『死せる魂』 青空文庫
同じ理由から、今日では怒と憎みとの區別も瞹昧になつてゐる。
— 三木清 『人生論ノート』 青空文庫
今日、怒といふものが瞹昧になつたのは、この社會において名譽心と虚榮心との區別が瞹昧になつたといふ事情に相應してゐる。
— 三木清 『人生論ノート』 青空文庫
名譽心と虚榮心との區別が瞹昧になり、怒の意味が瞹昧になつた今日においては、たとひアイロニイは稀になつてゐないとしても、少くともその效用の大部分を失つた。
— 三木清 『人生論ノート』 青空文庫
それに対して、さほ子は瞹昧極る微笑を洩した。
— 宮本百合子 『或る日』 青空文庫
といふわけは、これらの瞹昧なやり口は、あのやうに地位の高い婦人には幾分ふさはしくないし、又その秘密が自分に隱してあつたとすると、一層あぶなつかしくなると氣が付いたからであつた。
— スティーヴンスン 『帽子箱の話』 青空文庫