幻辞.com

絵行

えぎょう
名詞
1
標準
文例 · 用例
初穂、野菜、尾頭付の魚、供物がずつとならんで、絵行燈や提灯や、色色の旗がそこ一杯に飾られて、稍奥まつた処にある祠には、線香の烟が濛として、蝋燭の火がどんよりちらついて居る。
平出修 二黒の巳 青空文庫
と、いっても、むろん貧乏長屋のことゆえ、戸ごとに絵行灯をかかげ、狭苦しい路次の中で界隈の男や女が、「トテテラチンチン、トテテラチン、チンテンホイトコ、イトハイコ、ヨヨイトサッサ」 と踊るだけのことだが、お君はむりをして西瓜二十個寄進し、薦められて踊りの仲間に加った。
織田作之助 青空文庫
といっても勿論長屋の行事のこと故、戸毎に絵行灯をかゝげ、狭くるしい路次の中で界隈の男女が、トテテラチンチン、トテテラチン、チンテンホイトコ、イトハコト、ヨヨイトサッサと訳の分らぬ唄にあわせて踊るだけの事だが、お君は無理をして西瓜二十個を寄進し、そして踊りの仲間に加わった。
織田作之助 青空文庫
十日目、ちょうど地蔵盆で、路地にも盆踊りがあり、無理に引っぱり出されて、単調な曲を繰りかえし繰りかえし、それでも時々調子に変化をもたせて弾いていると、ふと絵行燈の下をひょこひょこ歩いて来る柳吉の顔が見えた。
織田作之助 夫婦善哉 青空文庫
戸毎に絵行燈をかかげ、狭苦しい路地の中で、近所の男や女が、 ――トテテラチンチン、トテテラチン、チンテンホイトコ、イトハトコ、ヨヨイトサッサ、……と踊った。
織田作之助 青春の逆説 青空文庫
私の知人M君もこの万さんの一人でありまして、初午の絵行灯に雁次郎の似顔でも描かせばなかなか稚気愛すべきものを描きます。
小出楢重 楢重雑筆 青空文庫
藍と薄曇美しき水だしあぶりだしの包装紙、縁日の葡萄餅屋が絵行燈の朱と萌黄と薄むらさき、大経師が店先の組上燈籠三枚続きのいのちにも似ると云つたら分るか。
正岡容 寄席風流 青空文庫
其女のような、あどけなくて、美しい処女は、ちょうど、夏の夜の虫を焼く絵行燈のようなもの――燈に罪はないが、焼かれる虫にも無理はないのだ。
吉川英治 夏虫行燈 青空文庫