薬煉
くすね
名詞
標準
boiled pine pitch and oil (traditionally used as a glue in archery, etc.)
文例 · 用例
この間に出刃打ちの弁護士は非常な苦心で、十分弁護の方法を考えておいて、いざ公判という日には、一番腕を揮って、ぜひとも出刃打ちを助けようと、手薬煉を引いているそうだから、これは裁判官もなかなか骨の折れる事件さ」 甲者は例の「なるほど」を言わずして、不平の色を作せり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
独り宮のみは騒げる体も無くて、その清き眼色はさしもの金剛石と光を争はんやうに、用意深く、心様も幽く振舞へるを、崇拝者は益々|懽びて、我等の慕ひ参らする効はあるよ、偏にこの君を奉じて孤忠を全うし、美と富との勝負を唯一戦に決して、紳士の憎き面の皮を引剥かん、と手薬煉引いて待ちかけたり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
それで、二人の撞くところは電公と蚊帳が捫択してゐるやうなものだ」風「ええ、自分がどれほど撞けるのだ」蒲「さう、多度も行かんが、天狗の風早に二十遣るのさ」 二人は劣らじと諍ひし末、直に一番の勝負をいざいざと手薬煉引きかくるを、遊佐は引分けて、「それは飲んでからに為やう。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
猪の脂と松脂とを煮溜めた薬煉は弓弦を強めるために新らしく武器庫の前で製せられた。
— 横光利一 『日輪』 青空文庫
掏摸が一度、豪勢な身なりをしている男の懐中物をくすねて鼻をあかしてやると、その快味が忘れられず、何回もそれを繰りかえし、かっぱらう。
— 黒島伝治 『国境』 青空文庫
そこで、金を持っている人間から、金をくすねようとして、やりそこなったのか、それとも、便衣隊にあんまりひつこくつきまとって、あやしく思われ、発砲されたのか、今、不意に逃げ出して来たのだ。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
彼等は、物をくすねそこねた泥棒のように頸をちぢめてこそこそ周囲を盗み見ながら兵士の横を走せぬけた。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
あすこに行つたら記念に屹度何かくすねて来る積りだつたが、何んだか気がさして、その気になれなかつたと云つてはゐたが、あいつのことだから何が何んだか分らないといふのだ。
— 有島武郎 『骨』 青空文庫
作例 · 標準
弓道の弦に塗る薬煉は、古くから伝わる伝統的な技法で作られる。
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この木工細工の接着剤は、昔ながらの薬煉を応用したものだ。
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弓師は、薬煉を丁寧に練り上げ、弦に塗り込んでいった。
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