繃帯
ほうたい
名詞
標準
文例 · 用例
「それは好いが君、君その指の繃帯は如何した」「一寸ナイフで切りましたから……」「S子は今内にゐませんから夕方いらつしやい……」 さう言つて二人は別れたが、彼にはその従兄の言葉が何時までも問題になつた。
— 中原中也 『分らないもの』 青空文庫
もう「御大事になさい……」といふ挨拶をされた晩から、三週間ばかりも経つてゐるが、そして指のキズは従兄のためにはもはやトツクに癒つて好い頃だが、いまだにS子の所に行く時、彼は繃帯をして行く……。
— 中原中也 『分らないもの』 青空文庫
椅子には頭じゅう繃帯したのや、手を肩から吊ったのだのが、二、三人かけて待っていた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
ボーイ長のまっ白の繃帯は、それでも血がにじんで来た。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
いつかあたしが、足の親指の爪をはがした時、お母さんは顔を真蒼にして、あたしの指に繃帯して下さりながら、めそめそお泣きになって、あたし、いやらしいと思ったわ。
— ―――三幕 『冬の花火』 青空文庫
両眼に繃帯をしているのだから、視覚に訴えるものは慰みにはならない。
— 寺田寅彦 『断片(1)』 青空文庫
自分のだけに、手を繃帯した水兵の方が、一番に蚊帳を出ました。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
」とやっと云って、烏帽子を正しく、はじめて上げた、女のような優しい眉の、右を残して斜めに巻いたは、笞の疵に、無慚な繃帯。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫