蹌踉け縞
よろけじま
名詞
標準
文例 · 用例
私は生洲から上げたばかりという生け鱸の吸ものの椀を取上げて、長汀曲浦にひたひたと水量を寄せながら、浜の椰子林をそのまま投影させて、よろけ縞のように揺らめかし、その遙かの末に新嘉坡の白亜の塔と高楼と煤煙を望ましている海の景色に眼を慰めていた。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
その蔭から、しなやかな裳が、土手の翠を左右へ残して、線もなしに、よろけ縞のお召縮緬で、嬌態よく仕切ったが、油のようにとろりとした、雨のあとの路との間、あるかなしに、細い褄先が柔かくしっとりと、内端に掻込んだ足袋で留まって、其処から襦袢の友染が、豊かに膝まで捌かれた。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫
よろけ縞の明石を透いて、肩から背がふっくりと白かった――若い方の婦人なんです。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
さて見れば、鼠縮緬の裾廻、二枚袷の下着と覚しく、薄兼房よろけ縞のお召縮緬、胴抜は絞つたやうな緋の竜巻、霜に夕日の色|染めたる、胴裏の紅冷く飜つて、引けば切れさうに振が開いて、媼が若き時の名残とは見えず、当世の色あざやかに、今脱いだかと媚かしい。
— 泉鏡花 『二世の契』 青空文庫