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関先

せきさき
名詞
1
標準
文例 · 用例
関先に夫らしい足音がすると、先刻から火鉢に凭つて時計ばかりみてゐた妻君は、忙しげに立ち上つて玄関に行つた。
――飜弄さる 蜻蛉 青空文庫
夜、木島さんとおシュン婆さんと僕と三人がかりで、変なアイスクリイムを作って食べていたら、ベルが鳴って、出てみると、木村のお父さんが、のっそり玄関先に立っていた。
太宰治 正義と微笑 青空文庫
お菓子をいただいて玄関先で失礼した。
太宰治 十二月八日 青空文庫
宵の大津をただふらふら歩き廻り、酒もあちこちで、かなり飲んだ様子で、同夜八時頃、大津駅前、秋月旅館の玄関先に泥酔の姿で現われる。
太宰治 犯人 青空文庫
半七は途中で買物をして、更になにかの支度をして、日本橋茅場町の祈祷所へたずねてゆくと、以前は誰が住んでいたか知らないが、新らしく作り直したらしく門柱には神教祈祷所という大きな札がかけられて、玄関先に注連が張りまわしてあった。
女行者 半七捕物帳 青空文庫
その声は私の机のある窓近くでもあるので、書きものゝ気を散らせるので、止めて貰はうと私は靴を爪先につきかけて、玄関先へ出てみた。
岡本かの子 蔦の門 青空文庫
或日の夕暮、一人の若い品の佳い洋服の紳士が富岡先生の家の前えに停止まって、頻りと内の様子を窺ってはもじもじしていたが遂に門を入って玄関先に突立って、「お頼みします」という声さえ少し顫えていたらしい。
国木田独歩 富岡先生 青空文庫
途方に暮れて、ヨチヨチと這出し、雨の夜中を唯一人、温かな親の乳房を慕って悲し気に啼廻る声が、先刻一度門前へ来て、又何処へか彷徨って行ったようだったが、其が何時か又戻って来て、何処を如何潜り込んだのか、今は啼声が正しく玄関先に聞える。
二葉亭四迷 平凡 青空文庫