赤犬
あかいぬ
名詞
標準
文例 · 用例
」 ゆるしが出たのでポチは、ぶるんと一つ大きく胴震いして、弾丸のごとく赤犬のふところに飛びこんだ。
— ―伊馬鵜平君に与える― 『畜犬談』 青空文庫
「なるほど、弱さ、かね」とY君に、笑はれても、私は抗辯することもできず、かの赤犬の出現以來、もう、めつきり氣が弱くなつて、それからの議論は、ことごとく私の敗北になりました。
— 太宰治 『このごろ』 青空文庫
一群の鶏も、数匹の白兎も、ダリヤの根方で舌を出している赤犬に至るまで。
— 梶井基次郎 『温泉』 青空文庫
それは犬殺しが何処かで赤犬の肉を註文されて狙いをつけたのだから屹度殺してやるとそこらで放言して行ったということを知らせる為めであった。
— 長塚節 『太十と其犬』 青空文庫
赤犬の肉は黴毒の患者に著しい効験があると一般に信ぜられて居るのである。
— 長塚節 『太十と其犬』 青空文庫
赤犬の肉は佳味いといわれて居る。
— 長塚節 『太十と其犬』 青空文庫
ぐったりとなった憐れな赤犬は熟睡した小児が母の手に衣物を脱がされるように四つの足からそうして背部へと皮がむかれた。
— 長塚節 『太十と其犬』 青空文庫
それは赤が死んだ日に例の犬殺しが隣の村で赤犬を殺して其飼主と村民の為に夥しくさいなまれて、再び此地に足踏みせぬという誓約のもとに放たれたということを聞いたからである。
— 長塚節 『太十と其犬』 青空文庫