寝白
ねしろ
名詞
標準
文例 · 用例
そんな時は、寝白粉の香も薫る、それはた異香|薫ずるがごとく、患者は御来迎、と称えて随喜渇仰。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
肌着も毎日のように取替えて、欠かさずに湯に入って、綺麗にお化粧をして、寝る時はきっと寝白粧をしたんですって。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
」と、お照は黄色い、かさかさした顔に寝白粉を塗って、色の褪せた紡績織りの寝衣に、派手な仕扱などを締めながら、火鉢の傍に立て膝をして寝しなに莨を喫っていた。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
伊達巻の寝巻姿にハデなお召の羽織を引掛けた寝白粉の処班らな若い女がベチャクチャ喋べくっていた。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻(丸善炎上の記)』 青空文庫
寝白粉というやつさね。
— 国枝史郎 『善悪両面鼠小僧』 青空文庫
「おや、お帰りかえ」 長火鉢には鶴吉より年上らしい四十前後の大年増が、しどけない伊達巻に丹前をひっかけ、燗銅壺に入れるばかりの銚子を猫板にのせ、寝白粉をつけて待っているといったふうな家庭でありました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
「お米さんエ」 目玉だけでも脅迫のきくような凄い顔を突き出して、わざとこう伝法口調に、「今、そこで、何とおっしゃいましたエ」 お米は鏡をよせて、寝白粉をつけていたが、ふりかえりもしないで、「ゆるすから、お前は先にお寝みというのさ」 ふざけるな!
— 船路の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫
さう言はれるまでもなく、死骸の顏は綺麗に化粧をしてあり、首のあたり、手拭の跡だけ、寢白粉の剥げて居るのも淺ましく目立ちました。
— 華魁崩れ 『錢形平次捕物控』 青空文庫