映ろう
うつろう
動詞
標準
文例 · 用例
また、誰が見ないまでも、本堂からは、門をうろ抜けの見透一筋、お宮様でないのがまだしも、鏡があると、歴然ともう映ろう。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
やや傾けたる丸髷の飾の中差の、鼈甲の色たらたらと、打向う、洋燈の光透通って、顔の月も映ろうばかり。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
ねえ田郷さん、勿論僕の眼に、その人物の姿が映ろう道理はありません。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
しかし、そういった細景が、肉の眼にてんで映ろう道理はないのであるが、またそうかといって闇を見つめていても、妙に夜という漆闇の感じがないのである。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
実は一枚、あの方の写真があるのですけど、それはまだ、お眼にかけてはおりません」「ところが夫人、だいたいが、トリエステの早代りさえも映ろうという僕の眼に、そんなものは、てんから不必要なのですよ。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
したがって逢痴の姿が、二重に映ろう道理とてはないのである。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
知っていればこそ心の迷いも起れ、知らぬ者の眼に怪しい影の映ろう筈がなく、ましてその小児がお住の名を知って居ろう筈がない、シテ見れば正しくお住その者の幽魂が迷って出たに相違ない。
— 岡本綺堂 『お住の霊』 青空文庫
雨のような光線の矢が木々の梢を洩れ落ちて、草葉の末の残んの露に映ろうのが、どうかすると雑草の花のように、七色のきらめきを見せて左膳の独眼を射る。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫