島隠れ
しまがくれ
名詞
標準
文例 · 用例
嵐の誘う木葉舟の、島隠れ行く影もほの見ゆ。
— 川上眉山 『書記官』 青空文庫
『重ねて時も有明の』橘 『はや島隠れ 落つる月』松王 (傍白)「尽きない名残りは留め置いて、またいずれの空の下で、相まみえようか。
— 藤野古白 『人柱築島由来』 青空文庫
しかし、帝の島隠れをいう――日ノ西天ニ没スルコト――も一年にすぎない。
— 世の辻の帖 『私本太平記』 青空文庫
白帆は早や渚を彼方に、上からは平であったが、胸より高く踞まる、海の中なる巌かげを、明石の浦の朝霧に島がくれ行く風情にして。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
返事は、数ならぬみ島がくれに鳴く鶴を今日もいかにと訪ふ人ぞなきいろいろに物思いをいたしながら、たまさかのおたよりを命にしておりますのもはかない私でございます。
— 澪標 『源氏物語』 青空文庫
彼を送り出すと、私はすぐに貴島がくれた名刺をさがし出して、そこに書いてあるD興業株式會社の所番地の大體の見當を地圖でしらべた。
— 三好十郎 『肌の匂い』 青空文庫
島がくれゆく京洛の船を呼び返している俊寛僧都の悲しみが、生々しい実感で今松の胸へと伝わってきた。
— 正岡容 『寄席』 青空文庫