釣り鐘
つりがね
名詞
標準
文例 · 用例
今、立つてゐるかの女にはただいやで/\堪らないものとして響く聲だらうが、坐わつてゐるもの――而もかた/\の耳が殆ど全く用を爲さないほど痛んでゐるもの――の心には、深い水門の底に沈んでゐる釣り鐘のうなりが聽えるやうであつた。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
私は一日に一度鐘樓に登つて釣り鐘を撞けばそれでよかつた。
— 横光利一 『草の中』 青空文庫
港は釣り鐘を伏したような緑の大きな岩山と岩山の間に開口しており――その向こうにある水平線にはきらきらした夏の輝きが見える。
— THE DREAM OF A SUMMER DAY 『夏の日の夢』 青空文庫
すなわち東洋回顧を始めて立体と調子と厳格なる写形的技術をもって障子と襖とかたびらの爺さんを描いてみると、釣り鐘で提燈の風情を現す位の牛刀の味を示す。
— 小出楢重 『油絵新技法』 青空文庫
そして家来にいいつけて、奥から米一|俵と、絹一|疋と、釣り鐘を一つ出させて、それを藤太に贈りました。
— 楠山正雄 『田原藤太』 青空文庫
釣り鐘はたたくと近江の国中に聞こえるほどの高い音をたてました。
— 楠山正雄 『田原藤太』 青空文庫
藤太は釣り鐘を三井寺に納めて、あとの二品を家につたえていつまでも豊かに暮らしました。
— 楠山正雄 『田原藤太』 青空文庫
これは少し平たい釣り鐘のような形をしたもので、小さいものは四五寸、大きいものになると四五尺もあり、すてきに大きなものであります。
— 濱田青陵 『博物館』 青空文庫