拈
拈
名詞
標準
文例 · 用例
甲は書籍を拈繰って故意と何か捜している風を見せていたが、「有ったよ。
— 国木田独歩 『恋を恋する人』 青空文庫
しかし「さあ、七銭からとお銭、飛んで十と五銭――」と弾んで、競り声を立てゝいる酒問屋の息子の手に品物が拈ねられる度びに、本能的に、きらりと光る注意の眼が品物に注がれました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
(なぞと拈る奴さ) ==今朝のね、彼の件==というに到りて、小間使は直ちに呑込み、「何の奥様、誰が饒舌ますもんですか。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
巡査が髭を拈って、手続は万事|己がするから好いと云うのを、少しも疑わなかったのである。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
」 すると、私はぐいとあの人の口を拈る。
— 水野仙子 『脱殼』 青空文庫
そうです、奴らが首を持ち出して拈くりまわしているうちに、一本か二本ぬけて落ちたのを誰も気がつかずにいて、けさになって小僧どもが掃き出してしまったんでしょう。
— 異人の首 『半七捕物帳』 青空文庫
むかしは菖蒲湯または柚湯の日には、湯屋の番台に三方が据えてあって、客の方では「お拈り」と唱え、湯銭を半紙にひねって三方の上に置いてゆく。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
」と、市郎は首を拈って、「で、其の※という奴は何んなものだね。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫