湯滝
ゆたき
名詞
標準
文例 · 用例
裏町の溝を流れる湯の匂ひや、朧ろにかすむ紅色の軒灯や、枕に近い湯滝の音やが、何とも言へぬ春らしい感じを起させる。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
樹立ちに薄暗い石段の、石よりも堆い青苔の中に、あの蛍袋という、薄紫の差俯向いた桔梗科の花の早咲を見るにつけても、何となく湿っぽい気がして、しかも湯滝のあとを踏むように熱く汗ばんだのが、颯と一風、ひやひやとなった。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
その湯滝の蔭に、たといいかなる秘計が隠されていようと、それはこの場合問題ではない。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
「すると、前室の湯滝を作ったのは、何のためだい。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そこで、レヴェズはまず、前室に湯滝を作って濛気を発生させたのだ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
当然|殯室の前室に、湯滝を必要とした理由は云うまでもないでしょう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
それで、だいたいの経路を想像してみますと、最初レヴェズが奥の屍室に入ったところを見届けて、犯人は湯滝を作ったのでした。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
雨、きょうもこの島町は湯滝のような雨だ。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫