走り来る
はしりくる
動詞
標準
文例 · 用例
かかる杭と刃物を蛇跡へ幾つも設け置いたと知らないかの蛇は、走る力が速ければ刃の当りも強くしてやにわに落命してしまう、烏これを見て鳴くと、猟師が聞き付け走り来ると果して蛇が死んでおり、その胆を取りて高価に售る。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
こうして野尻へ来た時に忽ち今来た方角から砂を蹴立てて一散に此方へ走り来る人影がある。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
その時、街道筋がにわかに物騒がしく、提灯をかざした多数の人がこちらへ向いて走り来るのは、まさしく先刻の風流人たちの報告によって、宿場の係りの人たちが出動して来たものに相違ありません。
— 不破の関の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
たった一人で、自分と向い合って走り来る人があることはまぎれもないと思いました。
— めいろの巻 『大菩薩峠』 青空文庫
その時、往手の林の中から、いかにもあわただしく転がり出して、こけつまろびつ、こちらへ向って走り来る二つの物体がありました。
— 胆吹の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
ただ、ちょっと驚かされたのは、かく慌しく、こけつまろびつ走る二人のうちの一人が、何か胸に後生大事にかき抱きながら、ものに追われるもののように走り来る事の体が、穏かでないと見らるるばかりです。
— 胆吹の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
房子 あなたはさうおつしやるけれど……此の時、ルイーズ、大声にて笑ひながら走り来る。
— 岸田國士 『古い玩具(一幕六場)』 青空文庫
」と叫ぶ声がして、転ぶようにして誰かを追って走り来る博徒喜造。
— 三好十郎 『天狗外伝 斬られの仙太』 青空文庫