焼け出され
やけだされ
名詞
標準
文例 · 用例
」 私は焼け出されて津軽の生家の居候になり、鬱々として楽しまず、ひょっこり訪ねて来た小学時代の同級生でいまはこの町の名誉職の人に向って、そのような八つ当りの愚論を吐いた。
— 太宰治 『嘘』 青空文庫
そして、事によると、あのボーイはその前世紀から焼け出されて、しかも今の世紀に落ち付く家がなくて、困っているのではないかというような想像もした。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫
帰宅してみたら焼け出された浅草の親戚のものが十三人避難して来ていた。
— 寺田寅彦 『震災日記より』 青空文庫
都会から疎開して来た人はたいてい焼け出されの組で、それはもう焼かれてみなければわからないもので、ずいぶんの損害を受けているのです。
— 太宰治 『やんぬる哉』 青空文庫
愚図々々と都会生活の安逸にひたっていたのが失敗の基である、その点やはりあなたがたにも罪はある、それにまた、罹災した人たちはよく、焼け出されの丸はだかだの、着のみ着のままだのと言うけれども、あれはまことに聞きぐるしい。
— 太宰治 『やんぬる哉』 青空文庫
この土地は、東京の郊外には違いありませんが、でも、都心から割に近くて、さいわい戦災からものがれる事が出来ましたので、都心で焼け出された人たちは、それこそ洪水のようにこの辺にはいり込み、商店街を歩いても、行き合う人の顔触れがすっかり全部、変ってしまった感じでした。
— 太宰治 『饗応夫人』 青空文庫
マダムも、私をすぐに思い出してくれた様子で、互いに大袈裟に驚き、笑い、それからこんな時のおきまりの、れいの、空襲で焼け出されたお互いの経験を問われもせぬのに、いかにも自慢らしく語り合い、「あなたは、しかし、かわらない」「いいえ、もうお婆さん。
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
見晴しのきく、いくらか高いところで、兵士は、焼け出されて逃げてくる百姓を待ち受けて射撃した。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫