ぎゅっ
ぎゅっ
副詞
標準
文例 · 用例
黙って、うしろから寝巻をかけてくれて、それから、寝巻の袖口から手を入れて、僕の腕の附け根のところを、ぎゅっとかなり強く抓った。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
彼は私のからだに巻きつけていた片手へぎゅっと力こめて答えた。
— 太宰治 『猿ヶ島』 青空文庫
私は、その知人たちに逢い、一夜しみじみ酒を酌み合いたく、その為ばかりにでも、私は満洲に行きたいのですが、満洲は、いま、大いそがしの最中なのだという事を思えば、ぎゅっと真面目になり、浮いた気持もなくなります。
— 太宰治 『三月三十日』 青空文庫
そんな風の囁きが、ひそひそ耳に忍びこんで来て、笠井さんは、ぎゅっとまじめになってしまった。
— 太宰治 『八十八夜』 青空文庫
そう言って鏡を見ると、私の顔はものものしく、異様に緊張してぎゅっと口を引きしめて気取っていた。
— 太宰治 『美少女』 青空文庫
ぎゅっと固くつぶってみたり、ゆるくあけて瞼をぷるぷるそよがせてみたり、おとなしくそんなことをしているだけなのである。
— 太宰治 『逆行』 青空文庫
こうして覗いているうちに、くろんぼは、こっそりおれのうしろにやって来て、ぎゅっと肩を抱きしめる。
— 太宰治 『逆行』 青空文庫
長い細い触角でもって虚空を手さぐり、ほのかに、煙くらいの眠りでも捜し当てたからには、逃がすものか、ぎゅっとひっ捕えて、あわてて自分のふところを裁ち割り、無理矢理そのふところの傷口深く、睡眠の煙を詰め込んで、またも、ゆらゆら触角をうごかす。
— 太宰治 『春の盗賊』 青空文庫