碾き
ひき
名詞
標準
文例 · 用例
然し、昇のは碾き臼の上石の樣だと思ふ。
— 憑き物 『泡鳴五部作』 青空文庫
よくよくのお茶碾きでなくては」「そういうものかね」 こんな話をしている時、曽根が座敷の真中に立って、大声でこう云った。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
あのこっちから見て右の方で踊っている芸者なんぞは、お茶碾き仲間にしては別品だね」「僕なんぞはどうせ上手か下手か分からないのだから、踊はお酌の方が綺麗で好かろうと思う。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
幾ら瀬戸の言うのが事実で、今夜来ている芸者はお茶碾きばかりでも、小倉袴を穿いた書生の跡を追い廻す筈がない。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
世の詩人にとつては、これは或はあまりに功利的に過ぎて、美といふ點に於て缺くるところある題目かも知れないが、或る人々には、愛と情の使者のやうに不幸な人達を訪れて※る清らかな、白い、碾き立ての麥粉を、その名が記念してゐる失はれた少女に譬へて見ることは、美しくも氣高く思はれるに違ひない。
— オウ・ヘンリ 『水車のある教會』 青空文庫
重宗は先ず西方を拝して後ちその座に着き、茶を碾きながら障子越に訟を聴くのであった。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫
もし洗えば天日で干すと碾きにくいから水を切って塗物の箱へ入れて乾かすのだ。
— 春の巻 『食道楽』 青空文庫
老人を碾いて若者にしたというお伽話の碾臼とは確かに違った碾臼で恐しくも碾きに碾かれて来た人間の標本が、あらゆる隅々に震えていた。
— 上巻 『二都物語』 青空文庫