迚も斯くても
とてもかくても
副詞
標準
no matter what
文例 · 用例
とてもかくても命の尽る期なるべしと覚悟してぞゐたりける。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
その後島木赤彦さんに注意されて見ると、この「とても」も「とてもかくても」の「とても」である。
— 芥川龍之介 『澄江堂雑記』 青空文庫
世の中は とてもかくても過してむ。
— 折口信夫 『橘曙覧評伝』 青空文庫
が、隠者の歌だけに、隠者気分に喜びを感じて居た彼であり、歌については、一隻眼も双眼もあつた人のことだから、「とてもかくても……」など言ふ平等観などによさを感じてなら、つけぬ名とも限らない。
— 折口信夫 『橘曙覧評伝』 青空文庫
とてもかくてもこの外に、鼠を探し捕らんに如かじ」ト、言葉いまだ畢らざるに、忽ち「呀」と叫ぶ声して、鴨居より撲地ト顛落るものあり。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
とてもかくても捨る命の、ただこの上は文角ぬしの、言葉にまかせて金眸が、洞の様子を語り申さん。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
この世はゆめのうち、とてもかくてもすぎゆけば、うきもつらきもむなしく、ただまぼろしの身のうえに、こぞやことし、きのうやきょうも、うつりかわれる世のなかはただ一すいのゆめのうちには、よろこびさかえもあり、かなしび、あめ山なすこともあれども、さめぬればあとかたちもなきもの。
— 倉田百三 『出家とその弟子』 青空文庫
……とてもかくても芋ヶ瀬の荘司が心に、和解の情涌きまして、この地を通すことでござりますならば、私彼の手に渡り……」「いやいや」 と、この時平賀三郎が、烈しい声で遮った。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫