銀鼠
ぎんねず
名詞
標準
silver gray
文例 · 用例
天鵞絨と紐釦がむやみに多く、色は見事な銀鼠であって、話にならんほどにだぶだぶしていた。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
それ故に灰色は江戸時代から深川鼠、銀鼠、藍鼠、漆鼠、紅掛鼠など種々のニュアンスにおいて「いき」な色として貴ばれた。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
その光を浴びてゐる他の側は、靄のためにまるで銀鼠色の幕をかけられてゐるかのやうであつた。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から』 青空文庫
十一 三月のある日、藤本の庭では、十畳の廊下外の廂の下の、井戸の処にある豊後梅も、黄色く煤けて散り、離れの袖垣の臘梅の黄色い絹糸をくくったような花も、いつとはなし腐ってしまい、椎の木に銀鼠色の嫩葉が、一面に簇生して来た。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
手入をせられた事の無い、銀鼠色の小さい木の幹が、勝手に曲りくねって、髪の乱れた頭のような枝葉を戴いて、一塊になっている。
— 太宰治 『女の決闘』 青空文庫
天鵞絨と紐釦がむやみに多く、色は見事な銀鼠であつて、話にならんほどにだぶだぶしてゐた。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
東京では冬は、市街は澁い銀鼠と白茶の配調が色彩の主調である。
— 木下杢太郎 『海郷風物記』 青空文庫
雨中小景雨はふる、ふる雨の霞がくれにひとすぢの煙立つ、誰が生活ぞ、銀鼠にからみゆく古代紫、その空に城ヶ島近く横たふ。
— 北原白秋 『畑の祭』 青空文庫