御腹
おなか
名詞
標準
文例 · 用例
アヽ大きな声して下さるな、あなたにも似合わぬと云いさして、御腹には大事の/\我子ではない顔見ぬ先からいとしゅうてならぬ方様の紀念、唐土には胎教という事さえありてゆるがせならぬ者と或夜の物語りに聞しに此ありさまの口惜と腸を断つ苦しさ。
— 幸田露伴 『風流仏』 青空文庫
又管領殿御臣下も多人数御切腹あり、武士の行儀はそれにて宜敷けれど、世間より申せば、義によって御腹召すほどの善い方々が、それだけ世間に減った道理。
— 幸田露伴 『雪たたき』 青空文庫
伊勢へ女王が斎宮になって行かれたことはあっても、加茂の斎院はたいてい内親王の方がお勤めになるものであったが、相当した女御腹の宮様がおいでにならなかったか、この卜定があったのである。
— 榊 『源氏物語』 青空文庫
さればこそをぢ君の御腹立をも申解かばやとさへ思ふなれ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
宿へ帰つて荷物をまとめて居ると、女房が何か不都合でも御座いましたか、御腹の立つ事があるなら、云つて御呉れたら改めますと云ふ。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
「何別に是といふ理由もなかつたのだけれども、――つい彼所いらで牛が食ひたくなつた丈の事さ」「さうして御腹を消化す爲に、わざ/\此所迄歩るいて入らしつたの」「まあ、左樣だ」 御米は可笑しさうに笑つた。
— 夏目漱石 『門』 青空文庫
御腹も御立ちになるでしょうが、根本的の議論なのだから、まず議論として御聴きを願いたい。
— 夏目漱石 『文芸の哲学的基礎』 青空文庫
「お政さんが御腹が痛いって、だいぶ苦しそうですから、林さんでも頼んで見て貰いましょうか」 お政さんが二三日寝ている事は知っていたがそれほど悪いとは思わなかった。
— 夏目漱石 『永日小品』 青空文庫