浸
浸
名詞
標準
文例 · 用例
人間も渋紙で物を包んで水の浸入に備えたり、渋面をして他人との交渉を避けたりする。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
昨日の高踏的詩風に、この現實的なバツクの浸潤を加へる事によつて、氏の藝術境は一層の深刻を加へる事であらう。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
その為に僕等は悪くかたくなり、へんに重苦しい気分となつてしまつて、少しも音楽的陶酔の快よい境地に浸れない。
— 萩原朔太郎 『ラヂオ漫談』 青空文庫
――に浸ろうとする。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
日本の茶道の基本趣味や、芭蕉俳句のいわゆる風流やが、すべて苔やさびやの風情を愛し、湿気によって生ずる特殊な雅趣を、生活の中にまで浸潤させて芸術しているのは、人のよく知る通りであるけれども、一般に日本人の文学や情操で、多少とも湿気の影響を受けてないものは殆んどない。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
月光の下、ひとり深夜の裏町を通る人は、だれしも皆こうした詩情に浸るであろう。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
しかしながら蕪村の場合は、侘びが生活の中から泌み出し、葱の煮える臭いのように、人里恋しい情緒の中に浸み出している。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
兎の害を防ぐ爲めに魚の腸の腐つたのに浸して結びつけられた古藁は、果樹の幹に物臭く垂れ下つてゐる。
— 有島武郎 『春』 青空文庫