峡中
かいちゅう
名詞
標準
文例 · 用例
「あ、あれが村雨の滝です」 峡中の美橋、美恵橋が現れて来た。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
雲は白く綿々として去来し、巒気はふりしきる蝉の声々にひとしおに澄みわたる、その峡中に白いボートを漕ぐ白シャツの三、五|子がいる。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
寂しい処で通宵これを聴く趣はとてもわが邦の猴鳴の及ぶところでなく、〈峡中猿鳴く至って清し、諸山谷その響きを伝え、冷々として絶えず、行者これを歌いて曰く、巴東三峡猿鳴く悲し、猿鳴く三声涙衣を霑す〉とはよく作った。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
その言に、猿は人の泣き声を聞くと腸絶えて死ぬからこうして紛らかすと、〈猿声悲し、故に峡中裳を沾すの謡あり、これすなわち人の声の悲しきを畏る、異なるかな〉とあるが何の異な事があるものか、人間でも人の罪よりまず自分を検挙せにゃならぬような官吏が滔々皆これだ。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
五里の層雲峡中、人家あるは、加藤温泉と塩谷温泉との二軒のみ也。
— 大町桂月 『層雲峡より大雪山へ』 青空文庫
忠別峡中の一軒屋也。
— 大町桂月 『層雲峡より大雪山へ』 青空文庫
峡中第一の難処といふ鳥居嶺は若葉の風に夢を薫らせて痩せ馬の力に面白う攀ぢ登る。
— 正岡子規 『かけはしの記』 青空文庫
此山を越ゆれば木曾三十里の峡中を出づるとなん聞くにしばしは越し方のみ見かへりてなつかしき心地す。
— 正岡子規 『かけはしの記』 青空文庫