嫌いなく
きらいなく
表現副詞接続詞
標準
without discrimination
文例 · 用例
あれを嫌いなくらいなら、どうせろくなやつじゃないぜ。
— 宮沢賢治 『山男の四月』 青空文庫
また枯れ草、莠、藁の嫌いなくそこら一面にからみついた蜘蛛の巣は風に吹き靡かされて波たッていた。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
その他名も知れぬ細流小溝に至るまで、もしこれをよそで見るならば格別の妙もなけれど、これが今の武蔵野の平地高台の嫌いなく、林をくぐり、野を横切り、隠れつ現われつして、しかも曲りくねって(小金井は取除け)流るる趣は春夏秋冬に通じて吾らの心を惹くに足るものがある。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
茅葺、板葺、瓦葺の嫌いなく、隣から隣へと屋根を伝って、彼は駅尽頭の方へ逃げて行った。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
」 その答より何より、姉は時雄の着物に夥しく泥の着いているのに驚いて、「まア、どうしたんです、時雄さん」 明かな洋燈の光で見ると、なるほど、白地の浴衣に、肩、膝、腰の嫌いなく、夥しい泥痕!
— 田山花袋 『蒲団』 青空文庫
二三|町四方人気のないのを幸いに、杉板の束を運び集めながら、新派旧派の嫌いなく科白の継ぎ剥ぎを復習し続けて行く。
— 夢野久作 『芝居狂冒険』 青空文庫
突如発狂して母親を背後から刺し殺し、畳|襖の嫌いなく切り廻って暴れた。
— 甲賀三郎 『琥珀のパイプ』 青空文庫
南都北嶺とやらの聖僧たちも少からぬように見うけたが、一人としてこの摩利信乃法師と法力を較べようずものも現れぬは、さては天上皇帝を始め奉り、諸天童子の御神光に恐れをなして、貴賤|老若の嫌いなく、吾が摩利の法門に帰依し奉ったものと見える。
— 芥川龍之介 『邪宗門』 青空文庫