閑雲
かんうん
名詞
標準
文例 · 用例
そして十幾ヶ月の間閑雲野鶴を友として暮したが、五年以前の秋、思立つて都門の客となり、さる高名な歴史家の書生となつた。
— 石川啄木 『葬列』 青空文庫
孫恪は某時、親戚の張閑雲という者の事を思いだして、久しぶりにその家へ往った。
— 田中貢太郎 『碧玉の環飾』 青空文庫
閑雲は孫恪の顔をつくづく見て、「お前の顔色は非常に悪い、これはきっと妖怪に魅いられている」 と言ったが、孫恪は別にそんな心あたりもないので、「別に怪しいと思う事もないが」 と不審する。
— 田中貢太郎 『碧玉の環飾』 青空文庫
「人は天地陰陽の気を受けて、魂魄を納めている、もしその陽が衰えて陰が盛んになれば、その色がたちまち表に露われるが、本人には解らない」 と、閑雲が主張するので、孫恪は袁氏の婿になった事を話した。
— 田中貢太郎 『碧玉の環飾』 青空文庫
「これは自個の本意でなくて、親戚の張閑雲から強いて言われたから、しかたなくやろうとした事だ、どうか怒りをやめてくれ、我には決して二心がない」 と、これも涙を流してあやまった。
— 田中貢太郎 『碧玉の環飾』 青空文庫
その後、孫恪は張閑雲に逢って、その日の事を話すと、閑雲は仰天して、「変異測りがたし」と、言って、それから孫恪と逢わないようになった。
— 田中貢太郎 『碧玉の環飾』 青空文庫
蓋し彼は其生涯の後年に於てこそ所謂閑雲野鶴、頗る不覊自由の人とはなりたるなれ当時に在りては猶純乎たる封建武士の子たりし也。
— 山路愛山 『頼襄を論ず』 青空文庫
閑雲野鶴空濶く風に嘯ぶく身はひとり月を湖上に碎きてはゆくへ波間の舟ひと葉ゆふべ暮鐘に誘はれて訪ふは山寺の松の風。
— 土井晩翠 『天地有情』 青空文庫