琴歌
ことうた
名詞
標準
文例 · 用例
炬燵のなか………お庭のまえの亀岡に 君をはじめてみるときは 千代もへぬべき心地して………美迦野さんは、炬燵布団の綴糸をまるい白い指ではじきながら、離室の琴歌に声をあはせた。
— 見知らぬ世界 『桜さく島』 青空文庫
かなしみの中にも、それを露わに言わないで琴歌にたくして、その別離の情と、壮行を祝う心とを内蔵助に送ったお軽こそ、わたくしの好きな女性の型の一人である。
— 上村松園 『軽女』 青空文庫
室町以後江戸の初期へかけて、中世以前、上流の専有であつた組歌が、民間に盛んに行はれる様になり、古い琴歌は、いつしか、新しい組唄を生じ、三味線にも組唄がかけられてゐた。
— 折口信夫 『組踊り以前』 青空文庫
采女や舎人を殺さうとせられた怒りが、歌を聴いて、即座に之を赦す心に迫られたと言ふ類の伝へ、其から秦酒公の琴歌によつて、闘鶏御田を免されたこと、木工|猪名部真根の刑死する時、真根の友匠の惜んで歌つた歌によつて命を助けられたことなど、歌もて怒りの魂を鎮めた伝への多かつたことが訣る。
— 折口信夫 『日本文学の発生』 青空文庫
そこには「御神楽御遊|内舎人十人、弾琴歌人二人」とあります。
— 折口信夫 『神楽(その二)』 青空文庫
これが一つになつて所謂|琴歌神宴或は清暑堂御遊といふやうな名称を失うて、御神楽と称せられ、更にそれを庭上の神事といふ風に形を変へさせ、時期もくり下げて十二月に行ふやうになつたものと思はれます。
— 折口信夫 『神楽(その二)』 青空文庫
其神遊びの一種として、平安朝の中頃から宮廷に行はれ始めたのが神楽で、最初は「琴歌神宴」と称して、大嘗祭の一部分の、夜の行事から出たと言ふ説が、有力になつてゐる。
— 折口信夫 『神楽記』 青空文庫
古事記は、古いところでは、萬葉集、土佐國風土記、琴歌譜等に、書名をあげて引用しており、先代舊事本紀には、書名はあげないが材料として使用している。
— 解説 『古事記』 青空文庫