蚊軍
ぶんぐん
名詞
標準
文例 · 用例
僕の部屋の窓を夜どほし明けはなして盜賊の來襲を待ち、ひとつ彼に殺させてやらうと思つてゐるのであるが、窓からこつそり忍びこむ者は、蛾と羽蟻とかぶとむし、それから百萬の蚊軍。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
僕の部屋の窓を夜どおし明けはなして盗賊の来襲を待ち、ひとつ彼に殺させてやろうと思っているのであるが、窓からこっそり忍びこむ者は、蛾と羽蟻とかぶとむし、それから百万の蚊軍。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
医師は立はだかりつつ、「どうした、蚊軍の襲来かい。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
蠅はほとんどゐない、誰かゞ連れてきたか、私についてきたか、時々二三匹ゐることもあるが、すぐ捕りつくせる、蚊は多い、昼も藪蚊が出て刺す、朝夕は無数の蚊軍が私一人をめがけて押し寄せる、蚊遣線香が買へないから、私はさつそく蚊帳の中へ退却する、そしてその小天地を悠々逍遙する。
— 伊佐行乞 『行乞記』 青空文庫
何よりもうるさいのは蚊軍の責め苦なり。
— 林芙美子 『新版 放浪記』 青空文庫
何か怪談のような話題でも出ますと、つい杉葉のきれたのも忘れてしまって、攻め寄せてくる蚊軍に驚いて「どうだいちっとくべようじゃないか」と云う風にまたくべ出したりするようなこともあります。
— 宮本百合子 『蚊遣り』 青空文庫
メルボルンの蠅、ブリズベーンの蚊、ともに豪州名物なりとの評あれども、秋冷の加わりたるために、蚊軍の襲来を聞かず。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
ご存知の方もありましょう、冬は木枯が、夏は西陽と蚊軍が自由自在に疎通するあの悩ましいフキヌケの窓。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫