捻向
捻向
名詞
標準
文例 · 用例
外へ、その人数を吐出したので、風が透いて、すっきり透明になって、行儀よく乗合の膝だけは揃いながら、思い思いに捻向いて、硝子戸から覗く中に、片足膝の上へ投げて、丁子巴の羽織の袖を組合わせて、茶のその中折を額深く、ふらふら坐眠りをしていたらしい人物は、酒井俊蔵であった。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
) と、幹事もはじめて、こう逆に捻向いて背後を見た。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
その時、捻向いて、くなくなと首を垂れると、摺った後褄を、あの真黒な嘴で、ぐい、と啣えて上げた、と思え。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
」 と夜具風呂敷の黄母衣越に、茜色のその顱巻を捻向けて、「厭な事は、……手毬を拾うと、その下に、猫が一匹居たではねえかね。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
」 小児はなお含んだまま、いたいけに捻向いて、「ううむ、内じゃないの。
— 泉鏡花 『女客』 青空文庫
まあ、御緩りなさいまし、)――それ、こうやって視るように、狼温泉の宿はずれの坂から横正面といった、肩でこう捻向いて高く上を視る処に、耳はねえが、あのトランプのハアト形に頭を押立った梟ヶ|嶽、梟、梟と一口に称えて、何嶽と言うほどじゃねえ、丘が一座、その頂辺に、天狗の撞木杖といった形に見える、柱が一本。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
)と、先はお役人様でがさ、お世辞|笑をしたばかりで、こちらも肩で捻向く面だ、道陸神の首を着換えたという形だてね。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
」 と熟と※った、目の冴は、勇士が剣を撓むるがごとく、袖を抱いてすッくと立つ、姿を絞って、じりじりと、絵図の面に――捻向く血相、暗い影が颯と射して、線を描いた紙の上を、フッと抜け出した足が宙へ。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫