疑懼
ぎく異読 ぎぐ
名詞動詞-サ変動詞-他動詞多音語
標準
apprehension
文例 · 用例
懿文太子の薨ずるや、身を挺んでゝ、皇孫は世嫡なり、大統を承けたまわんこと、礼|也、と云いて、内外の疑懼を定め、太孫を立てゝ儲君となせし者は、実に此の劉三吾たりしなり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
我軍は再戦して再挫し、猛将多く亡びて、衆心|疑懼す。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
が、何にせよ此時蒲生方に取って主人氏郷が茶讌に赴くことを非常に危ぶんだことは事実で、そして其の疑懼の念を懐いたのも無理ならぬことであった。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
そして又真正面から見た「にッたり」の木彫に出会って、これが自分で捌き得る人物だろうかと、大に疑懼の念を抱かざるを得なくなり、又今更に艱苦にぶつかったのであった。
— 幸田露伴 『雪たたき』 青空文庫
』 疑懼のカリギュラは、くすと笑った。
— 太宰治 『古典風』 青空文庫
思慮のある男には疑懼を懐かしむる程の障礙物が前途に横わっていても、女はそれを屑ともしない。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
しかし心の奥には、こうして暮らしていて、ふいとお役が御免になったらどうしよう、大病にでもなったらどうしようという疑懼が潜んでいて、おりおり妻が里方から金を取り出して来て穴うめをしたことなどがわかると、この疑懼が意識の閾の上に頭をもたげて来るのである。
— 森鴎外 『高瀬舟』 青空文庫
新人よ、疑懼し躊躇する事は絶対にない。
— 夢野久作 『探偵小説の真使命』 青空文庫