熱鬧
ねっとう
名詞
標準
文例 · 用例
熱鬧を極めたりし露店はことごとく形を斂めて、ただここかしこに見世物小屋の板囲いを洩るる燈火は、かすかに宵のほどの名残を留めつ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
兵士、希臘人、土耳格人、あらゆる外國人の打ち雜りて、且叫び且走る、その熱鬧雜沓の状、げに南國中の南國は是なるべし。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
羅馬は拿破里の熱鬧に似ず。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
昨日まで、瀑などの滴垂りおちる巌角にたたずんだり、緑の影の顔に涼しく揺れる白樺や沢胡桃などの、木立ちの下を散歩したりしていたお増の顔には、長いあいだ熱鬧のなかに過された自分の生活が、浅ましく振り顧られたり、兄や母親たちと一緒に、田舎に暮しているお柳の身のうえが、哀れまれたりした。
— 徳田秋声 『爛』 青空文庫
(昭和11・1「文藝春秋」)夏季雑題市中の夏 市中に生まれて市中に暮らして来た私たちは、繁華熱鬧のあいだにもおのずからなる涼味を見いだすことに多年馴らされている。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
一、幽邃深静を好んで繁華熱鬧を厭ふは普通詩人たるものの感情なり。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
前者の雅にして後者の俗なるは言ふまでもなけれど、さりとて繁華熱鬧必ずしも文学的の分子を含まざるに非ず。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
やがて、竹伐の行事も終り、白い夕星に、昼間の熱鬧もやや冷えてくると、山は無遍の闇の中に、真っ赤な大篝の焔をたくさんに揚げはじめた。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫