枯色
かれいろ
名詞
標準
文例 · 用例
市街から離れた田舎道を、なお、山奥へ、樹々が枯色をした深い淋しい林へ、耳の長い驢馬に引かれた長い葬式の列が通っていた。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
黄金色にみのった稲穂の真中を、そこだけは、真直に、枯色の反物を引っぱったようになっていた。
— 黒島傳治 『浮動する地価』 青空文庫
それが今は、何一ツ残らず、すべてが枯色だ。
— 黒島傳治 『前哨』 青空文庫
どこを見ても枯色の塵塚ばかりとなった。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
やがてその枯色も、鎖ざしはじめた昆虫霧にうっすらと霞んでしまったのである。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫
林にも野にも春の力が動き出してゐるはずだのに、見渡した目には冬そのまゝの枯色がまだつづいてゐる。
— 水野葉舟 『かたくり』 青空文庫
日輪は曇って、まだ二時過ぎたばかりなのに山頂は夕暮のようにうそ寒く、四山は枯色をしていかにも初冬が眼の前に迫ってきたのを感じさせられる。
— 杉田久女 『英彦山に登る』 青空文庫
二階のバルコンに出ると、遠くに秩父の連峰が見え、反対の側には赤十字病院の軍艦のような白い建物が、芝生の枯色と対照していい点景になっている。
— 久生十蘭 『あなたも私も』 青空文庫