適
てき
名詞
標準
文例 · 用例
大変早く御精が出ますね」「ハア吾々なんざア駄賃取りでもして適に一盃やるより外に楽しみもないんですからな。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
江戸時代に入って、鹿野武左衛門の『鹿の巻筆』(巻三、第三話)に、堺町の芝居で馬の脚になった男が贔屓の歓呼に答えて「いゝん/\と云ながらぶたいうちをはねまわつた」とあるが、この「いゝん」は『落窪物語』の「いう」と通ずるもので、馬の嘶きを「イ」で写す伝統が元禄の頃までも絶えなかったことを示す適例である。
— 橋本進吉 『駒のいななき』 青空文庫
また私の考えでは『万葉集』巻十一の、我背児爾吾恋居者吾屋戸之草佐倍思浦乾来(二四六五番)の末の句の「浦乾来」を「うらがれにけり」と読んでいるのはどうも不適当と思われるのであって、これは「うらぶれにけり」と読むのが正当と思われます。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
前回はかなり手を加えたが、今回は誤字を訂正したほかは、二、三の不適当な語句や用字法を改めたのみである。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
しかしながら、それは民族の存在様態としての文化存在の理解には適切な方法論的態度ではない。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
ついで人事にもこの区別が適用される。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
基体としての顔面、すなわち顔面の構造の上からは、一般的にいえば丸顔よりも細おもての方が「いき」に適合している。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
また一般にブロンドの髪のけばけばしい黄金色よりは、黒髪のみどりの方が「いき」の表現に適合性をもっている。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫