実在性
じつざいせい
名詞
標準
文例 · 用例
そして詩に於ける第一義感の精神が、宇宙の実在性に触れようとするメタフィジックの宗教感であること――それ故に宗教が詩的精神の最高部であること――は、前章に於て既に説いた。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
話が、だんだん陰鬱になって、いやであるが、私はこのごろ人魚というものの、実在性に就いて深く考えているのである。
— 太宰治 『女人訓戒』 青空文庫
読者にしてもし、私の不思議な物語からして、事物と現象の背後に隠れているところの、或る第四次元の世界――景色の裏側の実在性――を仮想し得るとせば、この物語の一切は真実である。
— 散文詩風な小説 『猫町』 青空文庫
否でも応でも、彼らは自己の迷信的恐怖と実在性とを、私に強制しようとするのであった。
— 散文詩風な小説 『猫町』 青空文庫
気儘な妄想を払つて不具に直面し、不具の実在性を確つかり見詰めよといふのであつた。
— 岡本かの子 『老主の一時期』 青空文庫
また物理学における「アンスロポモーフィズムからの解放」を唱えたプランク一派の主張や、また一方最近に至って、直接可測的のもの以外の実在性を否定しようとする新素量力学の先駆者らの叫びを思いくらべて、いかにこの問題が古いものであるかを知り得たのである。
— 寺田寅彦 『ルクレチウスと科学』 青空文庫
突然二十一歳になるAが「今火の玉が飛んだ」といいだすと、十九歳になるBが「私も見た」といってその現象の客観的実在性を証明するのであった。
— 寺田寅彦 『人魂の一つの場合』 青空文庫
物体を殆んど無視して描いてゐるのかと思へば、さうではなく立派に実在性を捉へてゐる。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫