野立て
のだて
名詞
標準
文例 · 用例
反歌大君の御世とこしへによろづよも南の山と立ち重ねませ夏山の若葉立ちくぐ霍公鳥なれもなのらな君が御幸に山のまの家居る民の族まで御幸をろがむことのかしこさ 御順路の日割によると、六月二十六日鳥居峠お野立て、藪原および宮の越お小休み、木曾福島御一泊。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
二十七日|桟お野立て、寝覚お小休み、三留野御一泊。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
二十八日妻籠お小休み、峠お野立て、それから馬籠御昼食とある。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
当日一千人分の名物|栗強飯をお買い上げになり、随輦の臣下のものに賜わるしたくのできていたという峠でのお野立ての時もすでに済まされたらしい。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
お花でも投げ入れとか、お茶でも野立てとか、その場その時の条件を溌溂とした心に映して、工夫を働かせて人の心も自分の心も慰めるというものもある。
— 宮本百合子 『今日の生活と文化の問題』 青空文庫
こんな野立てで酒宴に浮かれ出した、手がつけられない、と隠れた二人は苦り切っているうちに、仏頂寺と丸山は、断末魔の苦境に進んで行っていたのだ。
— 恐山の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
そして放鷹もあまりせず、ほんの野駈程度にすまし、携帯の茶の湯道具を取り出させて野立てで一服のんだりしてすぐ帰りを命じた。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫
小説中に、野立ての茶を書いたり、茶について、知つたふうな事を早くに書いたとがであらうか、世にはぼくを、少しは、茶も分つてゐる男のやうに思ひ誤まつてゐる人が多い。
— 吉川英治 『折々の記』 青空文庫