説き立てる
ときたてる
動詞
標準
文例 · 用例
いつも末造がそんな時、どうもすることはない、これまで通りにしていれば好いのだと云うと、どうにかしなくてはいられぬと云って、里へ帰られぬ事や、子供の手放されぬ事や、自分の年を取った事や、つまり生活状態の変更に対するあらゆる障碍を並べて口説き立てる。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
わたしの国なぞではこの倍も熱い湯へ這入ります」と自慢らしく説き立てるものがある。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
この時勢を生きるための作家の心構えなど、いまの私には聰明ぶって説き立てる勇気はないが、私にはこう云う時勢の中で、作家にとって最も大切なものは、執拗な凝視であると強調したい一念を抑え難い。
— ――『現代文学論』にふれて―― 『作家に語りかける言葉』 青空文庫
その点をつっこまれると、柴田は明かに狼狽の色を見せ、西田は全職工の一致結束を乱すとだけ云って、それから、改革を要する種々の細かな規定などをもちだして、くどくどと説き立てるのだった。
— 豊島与志雄 『立枯れ』 青空文庫
病人は頻りに口説き立てる。
— シュニッツレル Arthur Schnitzler 『みれん』 青空文庫
この手短かな本で以て、私が新しい道徳そのものを説き立てるというようなことは、元来出来ない相談でもあるし、少し滑稽なことでもあろうと考える。
— 戸坂潤 『道徳の観念』 青空文庫
神主はああ言ってわが物顔に天変地異の安全を保証顔に説き立てるけれども、要するに人間の智力ではないか――白骨谷に残る一団は、二人が去ってみると、また不安の念の襲い来るのを如何ともすることができません。
— 弁信の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
そこでお絹が、七兵衛の奴の、気障で、皮肉で、憎いことを説き立てる。
— 流転の巻 『大菩薩峠』 青空文庫