檜垣
ひがき
名詞
標準
文例 · 用例
その頃、京極でモダンな洋食店のメーゾン檜垣の主人もその一人であった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
鼈四郎が東洋趣味の幽玄を高嘯するに対し、檜垣の主人は西洋趣味の生々しさを誇った。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
「僕らは、天才じゃね」「天才じゃねえ」 檜垣の主人は、胸の病持ちであった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
檜垣の主人は、鼈四郎を連れて、鴨川の夕涼みのゆかから、宮川町辺の赤黒い行灯のかげに至るまで、上品や下品の遊びに連れて歩るいた。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
鼈四郎は檜垣の主人の暗鬱な未練に対し、本能の浅間しさと共に本能の深さを感じ、檜垣の主人は鼈四郎の肉体に対して嫉妬と驚異を感じた。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
鼈四郎は檜垣の主人に対しては対蹠的に、いつも東洋芸術の幽邃高遠を主張して立向う立場に立つのだが、反噬して来る檜垣の主人の西洋芸術なるものを、その範とするところの名品の複写などで味わされる場合に、躊躇なく感得されるものがあった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
檜垣の主人が持ち帰ったのは主にフランス近代の巨匠のものだったが、本能を許し、官能を許し、享受を許し、肉情さえ許したもののあることは東洋の躾と道徳の間から僅にそれ等を垣間見させられていたものに取っては驚きの外無かった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
「こいつ等は、まるで素人じゃねえ、」鼈四郎は檜垣の主人に向ってはこうも押えた口を利くようなものの、彼の肉体的感覚は発言者を得たように喝采した。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫