時言
じげん
名詞
標準
文例 · 用例
その論旨は、大體に於て今尚同樣であり、特に改修すべき新意見をも持たないけれども、しかもその脱稿の後に於て、當時言ひ知らぬ不滿と食ひ足らなさとを感じたことは、その後依然として繼續し、日毎に益※思ひが深くなつて來る。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の追憶』 青空文庫
それなり一時言葉が途絶える。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
今も言おう、この時言おう、口へ出そうと思っても、朝、目を覚せば俺より前に、台所でおかかを掻く音、夜寝る時は俺よりあとに、あかりの下で針仕事。
— 泉鏡花 『湯島の境内』 青空文庫
」 犬を料理そうな卓子台の陰ながら、膝に置かれた手は白し、凝と視られた瞳は濃し…… 思わず情が五体に響いて、その時言った。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
亭主が聞かれて「よくお訊ね下さいました」 実は、T「隣りの室のお客様が 宮本武蔵先生」 これには武蔵、ばからしゅうて暫時言葉も出なかった。
— 山中貞雄 『武蔵旅日記』 青空文庫
やっと判った」とその当時言った。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
』と言つた儘、暫時言葉もなかつたのである。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
」 あとの二人とも、此の時言合はせた體に、上と下で、衣ものの襞※まで、頷いたのが朧に分つた。
— 泉鏡太郎 『三人の盲の話』 青空文庫