徙
徙
名詞
標準
文例 · 用例
廿日、戊子、天晴風静なり、将軍家新御所に移徙なり、御車京都より遅く到るの間、御輿を用ひらる、酉刻、前大膳大夫広元朝臣の第より、新御所に入御、大須賀太郎道信黄牛を牽く。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
真宗崩じて後、其|后の悪みを受け、擅に永定陵を改めたるによって罪を被り、且つ宦官雷允恭と交通したるを論ぜられ、崖州に遠謫せられ、数年にして道州に徙され、致仕して光州に居りて卒した。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
車主は顧みて、否、盜人の巣なり、警察の累絶ゆる間なければとて、一たび市民の半を山のあなたに徙し、その跡へは餘所より移住せしめしことあり、されどそれさへ雜草の叢に穀物の種を蒔きしに似て、何の利益もあらで止みぬ、兎角は貧の上の事にて、貧人の根絶やし出來ねば、無駄なるべしと、諭し顏に物語りぬ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
かつて江戸町奉行がこれを撃つことを禁ぜようとしたが、津軽家が聴ずに、とうとう上屋敷を隅田川の東に徙されたのだと、巷説に言い伝えられている。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
津軽家の上屋敷が神田|小川町から本所に徙されたのは、元禄元年で、信政の時代である。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
渋江氏が亀沢町に来る時、五百はまた長尾一族のために、本の小家を新しい邸に徙して、そこへ一族を棲わせた。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
抽斎の蔵書は兼て三万五千部あるといわれていたが、この年亀沢町に徙って検すると、既に一万部に満たなかった。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
神田から台所町へ、台所町から亀沢町へ徙されて、幸に凋れなかった木である。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫