奇花
きか
名詞
標準
文例 · 用例
ここかしこの鉢植なる熱帯地方の植物は、奇花を着け、異香を放ち、且つ緑翠を滴らせて、個々電燈の光を受け、一目|眇として、人少なに、三組の客も、三人のボオイも、正にこれ沙漠の中なる月の樹蔭に憩える風情。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
天蒼々と快く晴れ、春日猗々として風暖く、河辺、山傍、又田野には、奇花芳草欝乎として開き、風景秀麗画図の如し。
— 国枝史郎 『高島異誌』 青空文庫
譬へば生命水の河の詩に「路旁生命水清流、天路行人喜暫留、百菓奇花供悦楽、吾儕幸得此埔遊」と云ふが如し。
— ―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文― 『骨董羹』 青空文庫
「路旁生命水清流 天路行人喜暫留 百果奇花供悦楽 吾儕幸得此埔遊」――大体こんなものと思へば好い。
— 芥川龍之介 『本の事』 青空文庫
此れ便先考|来青山人往年|滬上より携へ帰られし江南の一|奇花、わが初夏の清風に乗じて盛に甘味を帯びたる香気を放てるなり。
— 永井荷風 『来青花』 青空文庫
あの山荘でしょう」 導かれてそこに到れば、長松大柏は森々と屋をおおい、南国の茂竹、椰子樹、紅紫の奇花など、籬落として、異香を風にひるがえし、おもわず恍惚と佇み見とれていた。
— 出師の巻 『三国志』 青空文庫