有り所
ありどころ
名詞
標準
文例 · 用例
彼は俗用のためしばしば出入りするこの隣人の家の、小金の有り所をいつの間にか知っていたのである。
— 犬田卯 『沼畔小話集』 青空文庫
その啼声は物に驚いたような、目が見えなくなったような、巣の有り所を忘れたような、呻吟ような、悶えるような、切なそうな啼き声であった。
— 小川未明 『不思議な鳥』 青空文庫
胸は、男のたましいの有り所である。
— 第一分冊 『新書太閤記』 青空文庫
――実は私の魂のあり所だと思う、……加賀、金石街道の並木にあります叢祠の像なぞは、この女神が、真夏の月夜に、近いあたりの瓜畠――甜瓜のです――露の畠へ、十七ばかりの綺麗な娘で涼みに出なすった。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
さっき電話のかかってきたときは、ベルが鳴っていたものですから、電話機のあり所も知れたんですが、今はベルが鳴ってくれませんので、ハテ、どこにあることやら――」「しようがないなァ。
— 海野十三 『海底大陸』 青空文庫
これは少し事情を省察する労を惜まない人は誰でも気のついていることで、今更私がここに持ち出すまでもないことだが、併しそれでは凡ての宗教がインチキであり所謂邪教であるかと問われると、簡単にそうだと云っては済ませぬものがあることを注意する必要がある。
— 戸坂潤 『思想と風俗』 青空文庫
総後見のごんえむ殿、後見役と相談役、今やこれらが玉造の家の支配者であり所有主であって、彼や母親には寄宿人か厄介者ほどの場所しか与えられないのである。
— 忍術千一夜 第一話 『艶妖記』 青空文庫
つむじのあり所の悪いのはいけないが、二つあって、しかもそれが極く行儀よく真中にある子供は二度目、つまり生れかわりだというのである。
— 柳田国男 『故郷七十年』 青空文庫