救
救
名詞
標準
文例 · 用例
宗教界などを見ても、自己の修養をば丸で後廻しとして、社会を救うの、人を教うるのと、頗る熱心にやって居る輩もあるようなれど、自分に人格がなく修養がなくて、どうして社会を教うることが出来るであろうか、己が社会の厄介者でありながら、社会を指導するもないものだ。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
自分は阿弥陀様におすがり申して救うて頂く外に助かる道はない。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
耶蘇と同じく、ニイチェもまた自己が人類の殉教者であり、新時代の新しいキリスト(救世主)であることを自覚して居た。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
彼等の中で、比較的忠実に読んだ人さへが、単なる英雄主義者として、反キリストや反道徳の痛快なヒーローとして、単純な感激性で崇拝して居たこと、あたかも大正期の文壇でトルストイやドストイェフスキイやを、単なる救世軍の大将(人道主義者)として、白樺派の人々が崇拝して居たに同じである。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
それが幸ひ(だか不幸だか知らないが)一つの昂然たる貴族的精神によつて、今日まで埋没から救はれてるのは、ひとへに全くニイチェから学んだ訓育の為である。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
涅槃は媚藥の夢にもよほすふしぎな淫慾の悶えのやうでそれらのなまめかしい救世の情緒は春の夜に聽く笛のやうだ。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
詩とは、人々の魂を救ひ、清めるものでなければならないとすれば、彼の詩集「青猫」は人々が戰慄を感ずるまで君の靈魂を洗つて呉れる筈だ。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
詩人の死ぬや悲し ある日の芥川龍之介が、救ひのない絶望に沈みながら、死の暗黒と生の無意義について私に語つた。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫