雑説
ざつせつ
名詞
標準
文例 · 用例
鮑聶等の女仙は、もと古伝雑説より取り来って彩色となすに過ぎず、而して月君は即ち山東蒲台の妖婦唐賽児なり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
「去年の長州屋敷の一件もありますからね」 蛤御門の事変から江戸にある長州藩邸はみな取り壊しになったが、去年の八月、麻布|竜土町の中屋敷を取り壊した時には、俄かに大風が吹き出したとか、奥殿から大きい蝙蝠が飛び出して諸人をおどろかしたとか、種々の雑説が世間に伝えられた。
— 歩兵の髪切り 『半七捕物帳』 青空文庫
しかれどもこれみな反訳にあらざれば雑説のみ、較々著述の体を具えたるものは本篇をもってはじめてとなす。
— 陸羯南 『近時政論考』 青空文庫
その当時は高位貴顕のそばに婦女子の侍しいて、雑説、奇談をその君に申し上げ、方位、方角などを女子とともに忌み嫌うことになりたりとの説もあるが、多分そのようなることより、上下一般に信ずるに至りたるならん。
— 井上円了 『迷信解』 青空文庫
実際の遭遇がようやく稀になって雑説はいよいよ附け加わるので、これなども支那の書物の知識が、もう半分ばかりもまじっているようである。
— 柳田国男 『山の人生』 青空文庫
ことに山奥で天狗の悪戯などと怖れた災厄には、こういう人間味の豊かな解除手段もあったことを考えると、存外単純な理由がかえって忘却せられ、実験のようやく稀になるにつれて、無用の雑説が解説を重苦しくした場合を、推測せざるをえないのである。
— 柳田国男 『山の人生』 青空文庫
そうして種々の雑説俗説の並び行われたという中でも、だいたいに明るくまた自由で、笑いも楽しみも事を欠かず、来たり還ったりのできる処のように、想像するものの多かったのは、やはり上古の習わしの名残とも見られる。
— 柳田国男 『海上の道』 青空文庫
元末に至り陶宗儀が輟耕録を書き、元代の故事雜説を集めたが、彼は又説郛といふ大叢書を作つた。
— ――史記より清初まで―― 『支那史學史概要』 青空文庫