情性
じょうせい
名詞
標準
文例 · 用例
なんとなれば主観者は、それ自ら感情であり、烈しい爆発的の行為に出ようとするところの、デオニソス的激情性のものであるのに、客観者は智慧であって、表現の観照に向うところの、静かな明徹したアポロ的理性であるから。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
けだし人間に於ける知性と情性とは、常に並行して両存するものである故に、その一方が進む時は、他方も前に進むのである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
故に例えば東洋の絵は、竹を描いても虎を描いても、その植物や動物が持っているところの、真の実有相なる直情性や猛獣性やを、形以上のメタフィジックな本質から直観し、意味それ自体を直接に強調している。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
然るに此等の唄には、ナンセンスとしての明朗性もなく、センチメンタルとしての抒情性もない。
— 萩原朔太郎 『流行歌曲について』 青空文庫
そして一番本質してゐる人間的素質は、宗教的にさへも近いところの純情性であつた。
— 萩原朔太郎 『本質的な文學者』 青空文庫
僕の見たところでは、梶井君は三好君に對してのみ、一切の純情性を捧げて、娘が母に對するやうに甘つたれて居た。
— 萩原朔太郎 『本質的な文學者』 青空文庫
さうした彼の純情性が、いつも人に怒つたあとで高調してくる。
— 萩原朔太郎 『田端に居た頃』 青空文庫
とにかく、私は私で私の理論性でも感情性でも凡て私の全生命を表現しなければなりません――ね、それ歴々たるものだ」 かう云はれて見ると、桂子はたつたさつき坂の上で、都会の屋根々々を見渡して、思はず自分が拡充させた蝋銀色の翼の幻覚を思ひ出した。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫