宝引
ほうびき
名詞
標準
文例 · 用例
(三月十七日) 宝引(ほうびき)といふ事俳句正月の題にあれど何の事とも知らずただ福引の類ならんと思ひてありしがこの頃|虹原の説明を聞きて疑解けたり。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
元禄頃の句に宝引のしだれ柳や君が袖 失名とあるは親が縄を持ちながら胴ふぐりを見せじとその手を袖の中に引つこめたる処を形容したるにや。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
保昌が力引くなり胴ふぐり 其角宝引や力ぢや取れぬ巴どの 雨青時宗が腕の強さよ胴ふぐり 沾峩などいふ句は争ふて縄を引張る処をいへるなるべく宝引やさあと伏見の登り船 山隣といふ句は各※が縄を引く処を伏見の引船の綱を引く様に見立てたるならん。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
宝引に夜を寐ぬ顔の朧かな 李由宝引の花ならば昼を蕾かな 遊客などいふ句あるを見れば宝引はおもに夜の遊びと見えたり。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
彼等は外からの人目を雨戸に避けて其の唯一の娯樂とされてある寶引をしようといふのであつた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
疊には八|本の紺の寶引絲がざらりと投げ出された。
— 長塚節 『土』 青空文庫
寶引にも酒にも加はらぬ老人等は棚の周圍を廻つてからは歸つたものも有つて寮には幾らか人數も減つて居たが、圍爐裏の邊は醉が加はつて寶引の群に行かぬ婆さん等は酒の好きな孰れも威勢のいゝものばかりであつた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
「酒代足んなけりや、こつちの方に寺錢出來てるよおめえ等」寶引の仲間がこちらを顧みていつた。
— 長塚節 『土』 青空文庫