親柱
おやばしら
名詞
標準
main pillar
文例 · 用例
こっそりと渡殿の欄干を匐い上り、本堂の外縁にまわり込んでみると、本堂の真背後に在る内陣と向い合った親柱を、最前の三多羅和尚が双肌脱ぎとなり、声こそ立てねエイヤエイヤと、調子を計って押しつ緩めつしているけはいである。
— 夢野久作 『名娼満月』 青空文庫
彼女は早速、その場所に、その椿を親柱として白木のささやかな祠を結んだのだった。
— 佐左木俊郎 『或る部落の五つの話』 青空文庫
でも、宗家のかしらは第一等の船の親柱に任命されたが、その船はいつでも世界じゅう漕ぎまわれるというりっぱな船だ。
— DEN FLYVENDE KOFFERT 『ひこうかばん』 青空文庫
そうして、お松は親柱のところへ来ると、また、思わずギョッとして立ちすくんでしまい、「まア――」 檣柱の下の俵を積んだ上に、人が一人、黙って坐り込んでいる。
— 白雲の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
と思いやる途端に、親柱の上高く人の声がする、「ああ田山先生が来る――七兵衛おやじは来ないけれども、田山白雲先生がやって来る」 もう、あんなところに登っている。
— 白雲の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
ともかくも自分の身だけを、いま寝ていたところよりは、ずっと一段の奥、海に近い方の親柱の一本を小楯にとって、身を伏せたまま、二の矢の受けつぎを、じっと見つめて息をこらしたものです。
— 白雲の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
先代が自慢していた、クロトンの葉を彫った階段の親柱は、根こそぎとりはらわれて、磨ガラスの丸い灯入りの柱になり、美しい鋳金の手摺の裏に、ぞっとするような、毒々しい色のネオン・チューブを這わしてある。
— 久生十蘭 『我が家の楽園』 青空文庫
石田家の洋館における、階段の灯入ガラスの親柱と、手摺の裏のネオン・チューブは、二階へよろけあがる奴のための、深夜の道しるべだとしか、百々子には思えない。
— 久生十蘭 『我が家の楽園』 青空文庫