秋天
しゅうてん
名詞
標準
文例 · 用例
九月十九日――「朝、空曇り風死す、冷霧寒露、虫声しげし、天地の心なお目さめぬがごとし」同二十一日――「秋天|拭うがごとし、木葉火のごとくかがやく」十月十九日――「月明らかに林影黒し」同二十五日――「朝は霧深く、午後は晴る、夜に入りて雲の絶間の月さゆ。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
何も皆身にしむように思われる薫は、「就中断腸是秋天」と低い声で口ずさんでいた。
— 蜻蛉 『源氏物語』 青空文庫
昭和九年四月砧村の雲と鐵塔の下にて白秋識口繪 中垣(世田ヶ谷時代) 山本鼎裝幀 北原白秋天王寺墓畔吟大正十五年の、谷中天王寺墓畔に於ける生活に由る。
— 北原白秋 『白南風』 青空文庫
秋天一碧の下、ずるころになってようやく彼は幕営に戻る。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
この澄みやうは、――我、秋天の如く秋水に似たり、おちついてしめやかな一日だつた。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
秋天片雲無きの口にここへ来たのは没怪の幸いであった。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
秋天片雲無きの日にここへ来たのは没怪の幸であった。
— 岡本綺堂 『秋の修善寺』 青空文庫
糸瓜の実が尻ぬけをしたあとを、何心なく覗き込み、細かい繊維の網から出来上った長い長い空洞が、おりからの秋天の如く無一物なのに驚いて、声を放って哄笑するのも、時にとっての一興である。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫