女主人公
おんなしゅじんこう
名詞
標準
heroine
文例 · 用例
矢張、不如帰の女主人公を思はせるやうな、少しく旧式な温順さをもつた、どこか病身らしい細顔の女たち――である。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
そして、私は傷ましい悲劇の女主人公を眼の前にしながら、ただ索漠たる氣持の中に陷るばかりだつた。
— 南部修太郎 『ハルピンの一夜』 青空文庫
女主人公が穴蔵へ引っ込んだあとへイルマが蠅取り紙を取り換えに来る、それをながめていたおやじの、暑さでうだった頭の中に獣性が目ざめて来る。
— 寺田寅彦 『映画雑感(4)』 青空文庫
ポーラはやはり浮き草のようなポーラであるところにこの劇の女主人公としての意義があり、そこに悲劇があり、ほんとうの哀れがあるのではないか。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
それに自分でも恐しいほどはつきりして來て、もくろんでゐるある長いものゝ中の主人公や女主人公が、惱んだり、苦しんだり、愛したり、愛さなかつたり、墮落したり、救はれたりしてゐるのと一所になつて、自分も苦しんだり泣いたりしてゐます。
— 有島武郎 『水野仙子氏の作品について』 青空文庫
殊に後半の女主人公や事務長の関係は全然無根だと云っていゝのです。
— "Not till the sun excludes you, do I exclude you; 『●「或る女」巻頭のホイットマンの詩』 青空文庫
心着けば、正面神棚の下には、我が姿、昨夜も扮した、劇中|女主人公の王妃なる、玉の鳳凰のごときが掲げてあった。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
ところが、この間「誉高き婦人」と云う映画が掛って、大そう評判だったので見に行ったのですが、おどろいたことにもこの映画の中の女主人公が夫を怒鳴りつけて殴る場面になると、我々男の観客は何れも自分の頭をしたたかに殴られたような衝撃を感じたものです。
— 渡辺温 『十年後の映画界』 青空文庫