幻辞.com

笈摺

おいずり異読 おいずる
名詞
1
標準
thin, sleeveless overgarment worn by pilgrims
文例 · 用例
薄い髪の、かじかんだお盥結びで、襟へ手拭を巻いて居る、……汚い笈摺ばかりを背にして、白木綿の脚絆、褄端折して、草鞋穿なのが、ずつと身を退いて、トあとびしやりをした駅員のあとへ、しよんぼりと立つて、饂飩へ顔を突込むだ。
泉鏡太郎 銀鼎 青空文庫
「アイ、笈摺もな、兩親のある子やゆゑ兩方は茜染……」の一段になつて、予も始めて、はつと幻想の世界に落ち込んだやうな心持がした。
木下杢太郎 京阪聞見録 青空文庫
今迄概念的に味はつて居た十郎兵衞住家の悲劇も、兩親があるから笈摺の兩縁が茜染だといふ特殊の事實の描寫が、阿片のやうに瞬間的に予の自覺を濁らしたと見える。
木下杢太郎 京阪聞見録 青空文庫
それから「からげも解かず、笈摺も掛けたなり」と云ふ處で、また小さいシヨツクを感じた。
木下杢太郎 京阪聞見録 青空文庫
中に荒縄の太いので、笈摺めかいて、灯した角行燈を荷ったのは天狗である。
泉鏡花 茸の舞姫 青空文庫
その反対の角隅には、道者の笈摺を枕元に据えて、人一人が布団を冠って臥ておりました。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
部屋の隅に眠ていた行者風の男はむく/\と起き出し、粥の小鍋を炉の端に提げて来まして、白湯をさし、「ちょっと火にかけさしてお貰い申すだ」と、自在鈎へ釣り下げて元の隅へ戻ると、今度は笈摺に向って何やら頻りに呪文のようなことを誦しながら珠数をじゃら/\揉み鳴らしています。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
春なれば街の少女が華やぎに、君も交りて美しう、恋の祈誓の初旅や笈摺すがた鈴ふりて、大野のみなみ、菜の花の黄金海透く筑紫みち列もあえかのいろどりに御詠歌流し麗うらと練りも続く日、軟かぜに絵日傘あぐる若菜摘、法師、馬上の騎士たちも照りつ乱れつ菅笠に蝶も縺るる暖かさ。
北原白秋 第二邪宗門 青空文庫
作例 · 標準
例句