無作
むさ
名詞
標準
文例 · 用例
どの宿という心当りもなかったが、無作法なる宿引きが、電車の中の客席へ割り込んで、あまりにツベコベと、一つの宿屋を吹聴するので、宿引の来ない宿屋にゆくに限ると決め、電車の窓から投げ込まれた引札の中から選り取って、大外河を姓とする芙蓉閣なる宿屋へ、昼飯を食べに入った。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
だが、その最初の無作法な石の訪問の時には、みづほは炊事場の方へ行っていたので、人間には何の被害もなかった。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
今度のノーベル・プライズのために不意打ちをくらった世間が例のように無遠慮に無作法にあのボーアの静かな別墅を襲撃して、カメラを向けたり、書斎の敷物をマグネシウムの灰で汚したり、美しい芝生を踏み暴したりして、たとえ一時なりともこの有為な頭の安静をかき乱すような事がありはしないかというような気がする。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
」と、無作法に両股をひろげて男が云った。
— 吉行エイスケ 『女百貨店』 青空文庫
――その真中へ顔を入れたのは、考えると無作法千万で、都会だと、これ交番で叱られる。
— 泉鏡花 『小春の狐』 青空文庫
」と亀は小声で言つて無作法に乙姫のはうを顎でしやくり、「あのかたは、何も孤独ぢやありませんよ。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
」と龜は小聲で言つて無作法に乙姫のはうを顎でしやくり、「あのかたは、何も孤獨ぢやありませんよ。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
「こいつ等が、咽喉にうにょうにょして停滞しているときは、全く無作法な獣たちですね。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫