暗香
あんこう
名詞
標準
scent of a flower floating about in the air
文例 · 用例
深窓の美姫、紅閨の艶姐、綾羅錦繍の袂を揃えて、一種異様の勧工場、六六館の婦人慈善会は冬枯に時ならぬ梅桜桃李の花を咲かせて、暗香堂に馥郁たり。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
西山夕陽を啣みて、海波紫に、うち渡す暮烟の中に、ひとむら濃きは杉田なるべく、うれしくも花候におくれざりしと、まづ心ゆきしが、やがて杉田に近づけば、暗香おのづから人を撲つに、ゆかしさ限りなし。
— 大町桂月 『杉田の一夜』 青空文庫
林和靖の「疎影横斜水清淺、暗香浮動月黄昏」の句は、古今の絶唱也。
— 大町桂月 『久地の梅林』 青空文庫
されど、日曜の回遊列車の半額なるをさけて、土曜にくりあげ、日がへりの急がしきにならはで、『暗香浮動月黄昏』の趣を賞し、『月明林下美人來』の趣をも賞せむとする心根は、花神も汲まるべくや。
— 大町桂月 『水戸觀梅』 青空文庫
東京の附近の諸梅園の比にはあらざれども、余は、籬外溪畔、疎影暗香の觀ある吉野村、梅園村などの梅を取らむか。
— 大町桂月 『水戸觀梅』 青空文庫
暗香人を掠めて、春色澹として無からむとす。
— 大町桂月 『月譜』 青空文庫
花を理想的に愛する人は、破れた籬の前に座して野菊と語った陶淵明や、たそがれに、西湖の梅花の間を逍遙しながら、暗香浮動の趣に我れを忘れた林和靖のごとく、花の生まれ故郷に花をたずねる人々である。
— 茶の本 『茶の本』 青空文庫
時には「暗香浮動ス月黄昏」と吟ぜられてその清香の馥郁を称えられます。
— 牧野富太郎 『植物記』 青空文庫
作例 · 標準
私は毎日暗香について考えている。
暗香という言葉は日本語で重要だ。
彼は暗香の意味を理解している。
この文には暗香が含まれている。